UNIDOは日本政府の資金提供を受け、2020年から日本企業と共にアジアやアフリカへの技術移転を通じた新型コロナウイルスの影響を緩和するプロジェクトを実施しています。これらのプロジェクトでは、受益者や参加者の少なくとも40%が女性をあることを目標としており、女性の生活や健康、繁栄、家庭や職場に良い影響をもたらしています。今回はいくつかのケースをご紹介します。
ケニアのナイロビにあるムトゥイニ病院では、キンセイ産業が医療廃棄物を処理する焼却炉を設置しました。同病院の医療事務責任者ジョセフィン・ワンブイ・ングリ氏は、この技術によって、病院が環境を汚染することなく医療廃棄物を安全に管理でき、地域社会に貢献できると確信しています。「焼却炉のおかげで、医療廃棄物の不適切な処理に起因する被害から女性医療従事者を守り、感染対策に役立つ。また、様々な女性医療従事者が焼却炉の使い方に関するトレーニングを受け、現在はその知識を別のスタッフに伝えている」と述べました。同氏自身も「安全な医療廃棄物管理に関する膨大な知識と経験を得ることができた」と語り、「このプロジェクトを実現するにあたり、さまざまなセクターが協力しなければならないので、セクター間の協力体制についても学べた」と述べました。
また、TSP太陽株式会社は、太陽光発電を搭載した移動式のPCRラボをケニア・ナイロビのマチャコス病院に設置しました。PCR検査設備を必要に応じて各地に移動させることで、地域の様々なニーズに対応しています。医療スタッフとして患者にPCR検査をしているクリスティーン・ワンジラ・ムショキ氏は「ラボは太陽電池式なので電力の接続が困難な地域にも届けることができ、女性や子ども、障害者といった少数派の人々にもPCR検査を届けることができる。また、子や夫、年老いた両親、患者の世話を担う女性の医療従事者にとって、このラボは、安全で安心な職場環境を提供することができる」と述べています。
インドネシアでは、株式会社光と風の研究所が家庭や職場などの表面の消毒に使用できる消毒剤スプレー技術を移転しました。同社は現地でセミナーを開催し、製品の強みを伝えました。プロジェクト先での受益者の多くは女性で、以下のようなコメントを寄せています。
「ウエイトレスにとって消毒剤スプレーは素晴らしい製品。これを使えばテーブルを消毒できるだけでなく、臭いを消せる。また、お客様の手指消毒剤としても使えるので、お客様にも従業員にも安全な環境を提供できる」と、ウエイトレスのラマーサリさんは語ります。同様に、看護学生のラミさんは「環境に優しく、大人や子ども、ペットなど日常生活に安全な消毒剤を製造しているこの技術に感動し、研修で正しい消毒の方法を学ぶことができた 」と述べています。
UNIDOは今後も、プロジェクト対象国や、SDG目標3(すベての人に健康と福祉を)、同5(ジェンダー平等を実現しよう)、同9(産業と技術革新の基礎をつくろう)といったSDGsに対する貢献を示すため、実施中のプロジェクトの影響を監視・報告していきます。
お問い合わせ先: itpo.tokyo@unido.org