《インタビュー》 ウガンダ
2017.06.22
UNIDO東京事務所は、5月21日から6月2日まで、ウガンダ投資庁
(Uganda Investment Authority (UIA))から、ホープ・ワイラ
氏を投資促進専門官として招聘しました。同庁で15年の経験を
もつワイラ氏は、現在日本の窓口として活動されています。
滞在中は、ウガンダでの事業展開に関心を持つ日本企業や関連団体
との個別に面談。最新のウガンダのビジネス環境や投資機会を紹介
しました。
プログラムの概要と資料はこちら。
滞在の最終日に、ワイラ氏からお話を伺いました。 <来日したホープ・ワイラ氏>
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—–東京と大阪で開催されたセミナーでの反応は、いかがでしたか?
東京では約150名、大阪では約70名の参加がありました。大手・中小企業の方々と、様々な規模と分野の皆さまにご参加頂いた事に、将来性も感じました。日本の皆さまのご興味、駐日ウガンダ共和国大使館特命全権大使、ウガンダ貿易・産業・協同組合大臣、ウガンダ投資庁長官、そして民間企業の代表が一同に介してくださった事は、我々にとって自信にも繋がります。
大阪でのプレゼンテーションでは、ウガンダの良い面ばかりでなく課題も提示させていただき、その全てを投資の可能性と受け止めていただけるよう、お話をさせていただきました。
—–今なぜ「日本」なのですか?
ウガンダはアフリカの中心に位置します。地理的には陸地に囲まれ、マーケットとしては陸で繋がっています。私の来日の目的は、日本の方々にウガンダをより良く知っていただく事。また我々も日本から、多くを学びたいと考えています。
—–ウガンダが抱える課題とは?
もっとも大きな課題は、インフラです。劣悪な状況ではもちろんありませんが、投資を促すのに十分ではないというのが現状です。日本のインフラは素晴らしいと思います。こうした日本のインフラやその技術を、ウガンダのインフラ開発の投資に充てていただけると良いのではないかとも感じます。これまで煩雑であった事務処理も、今は「ワンストップ・センター」をウガンダ投資庁が設けています。
—– 日本企業によるウガンダでの成功例はありますか?
中小企業のサラヤさんは、非常に興味深いケースです。ウガンダに工場を設立し、サトウキビからアルコール手指消毒剤を生産しています。ユニセフ、JICAと共に進めたプロジェクトがビジネスとして独立したケースです。現在はケニアにも事務所が設置されています。 アフリカ大陸内での成功は、国を超え他の地域にもビジネスの可能性を波及させる事がわかる事例です。
「ウガンダの父」と呼ばれる、柏田雄一氏のことも忘れてなりません。同氏が設立したフェニックス・ロジスティクスは、オーガニック・コットンから生産したシャツを製造・販売。それだけに止まらず、スマイリーアースのような、新たなビジネスを支える活動もされています。
—– ウガンダでは、どのように人材育成を行っているのですか?
ウガンダ政府は、「ウガンダに技術を」というプログラムを実施。ウガンダの人々が、実践的なスキルを身につける取り組みを行っています。日本政府が実施している、ABEイニシアチブも、教育分野の開発を可能にしています。
技術は取り上げてしまうことができても、スキルは一度取得すれば残ります。日本による、スキル取得に伴う支援は、大変ありがたいものです。
—– 東アフリカには、地域全体を盛り上げるため、どういった取り組みがあるのでしょうか。
我々はケニアとタンザニア、2箇所の港を、輸出入に活用しています。
また、ウガンダ、ケニア、タンザニアは、物流の合理化を目指し、鉄道事業にも取り組んでいます。この事業が2021年に完成すると、南スーダン、ルワンダ、ブルンジも、物流面での恩恵を受けることになるでしょう。
5千万人のマーケットを共有する地域の開発に、「調和」は必須です。定期的に顔を合わせ、決定事項は適切に現場に反映されます。
我々は、互いの強みに敬意を払い、同時に比較優位・競争優位を追い風にすることに同意しています。こうする事で、当事国が皆「ウィン(win)」を享受できるのです。
—— ウガンダにおける、女性のリーダーシップについてもお聞かせください。
現政権は、女性が台所から出てくるように、という働きかけを実施しました。マイノリティー優遇措置、つまり女性の解放が実施された事で、女性の能力(キャパシティ)が証明されたのです。今回のデレゲーションは、駐日大使、貿易・産業・協同組合大臣、投資庁長官、およびデレゲートである私、全員女性です。女性を力づけると、国に力がつきます。女性は知識、スキル、そして努力を惜しまず活用するべきです。
—— ウガンダに帰国されてからの次のステップは?
今回の来日で、日本の皆さまから、金融取引についてなど、その他多くのご質問をいただきました。日本では、決定までに時間を要すると理解しています。その間に私がすべき事は、適切なフォローアップをする事です。今後より良い関係を構築できると信じていますので、引き続き、皆さんとのコンタクトは続けます。コミュニケーションを絶ってしまうという事は、構築できた関係もそしてその後に繋がる可能性までも絶ってしまうという事。現在ウガンダ投資庁に登録の上ビジネスを展開している12の日系企業に加え、今後ますます日本とのビジネスの機会が増えていくことを、私は確信しています。
お問合せ
UNIDO東京事務所(担当:今津)
Tel: 03-6433-5520
E-mail: itpo.tokyo@unido.org
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